廃棄物処理法 第12条 第7項
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、 当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない
東証スタンダード |
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産業廃棄物の排出事業者が他者に廃棄物の処理を委託する場合、「排出事業者責任」として求められていることがあります。
そのうちの1つが、いわゆる「現地確認(処理状況の確認)」と呼ばれている努力義務です。
排出事業者は、事業活動に伴って排出した廃棄物を適正に処理する必要があり、他者へ委託した際は、排出から最終処分されるまでの間も責任が伴います。
委託後も滞りなく適正に処理がなされているか状況の確認が求められているというものです。
この要求は平成22年の廃棄物処理法改正で加わり、平成28年に起こった食品廃棄物の不正転売の事案以降、「排出事業者責任」の徹底へ向けた取り組みがさらに進みました。
「現地確認(処理状況の確認)」についての条文を抜き出すと、以下の通りです。
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、 当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない
平成22年改正法Q&A集では、「必ずしも実地に行うことを求めるものではない」と回答しながらも、処理状況についての確認を怠っていた場合は、罰則の対象にはならないまでも「措置命令の対象となり得ます」と書かれています。
1. 委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理工程等を確認する
どういうことかというと、
例えば、委託先の処理業者が万が一不法投棄に至った場合には、排出事業者が処理状況に関する確認を怠っていたことを理由の一つとして、「支障の除去等の措置を委託者である排出事業者に採らせることが妥当である」とした措置命令が出る可能性があるということです。
それでは「処理状況」について、どのように確認しておけばいいのでしょうか?
環境省は『排出事業者責任に基づく措置 に係るチェックリスト』の中で、
事業者が委託先において産業廃棄物の処理が適正に行われていることを確認する方法として、下記をあげています。
委託先における産業廃棄物の適正処理を確認する方法
2. 委託先の処理業者が、優良産廃処理業者認定制度等により公開している情報等があれば、産業廃棄物の処理状況や施設の維持管理の状況などの情報等を確認し、委託した廃棄物の処理が適正に行われていることを間接的に確認する
委託先の施設の外観や情報を単に見るだけといった形式的な確認ではなく、
・処理業者とコミュニケーションをとりながら委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理工程等について確認を行う
・公開されている情報について、不明な点や疑問点があった場合には処理業者に回答を求める
等、法に基づき適正な処理がなされているかを実質的に確認することが重要となります。
廃棄物の処理が適正に行われていることを実質的に確認することができると認められるのであれば、実地に赴いて確認することに限られず、以下のようなデジタル技術を活用して確認する方法も可能です。
1. 電磁的記録による許可内容や帳簿等の情報の確認をする
2. オンライン会議システム等を用いた処理施設の稼働状況や周辺環境の確認
3. 情報通信機器を使用して産業廃棄物処理業者への管理体制の聴取を行うこと
4. 同一の産業廃棄物処理業者に処理を委託している複数の排出事業者が共同してデジタル技術の活用により廃棄物の処理の状況を確認すること
4. については、下記2つを満たす場合に、「妨げられるものではない」としています。
・排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になることがないと認められる場合
・廃棄物の適正な処理について実質的な確認が可能である場合
ただし、デジタル技術を活用する場合であっても、例えば、オンライン会議システム等では確認できないことが生じた場合や疑問点が解消されない等、デジタル技術の活用では適切な確認ができない場合には、実地に赴いて確認することが必要となります。
長くなりましたが、現地確認(処理状況の確認)の必要性や措置命令が発出される可能性について、ご理解いただけたでしょうか。
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